この度、エイズ予防財団理事長を拝命しました白阪琢磨です。
エイズは昭和56年(1981年)に米国で初めて報告されて以来、世界に拡がり、多くの国々に深刻な影響を与えています。わが国においても昭和60年(1985年)3月に最初の症例の報告がされ、国民の新たな問題として認識され、昭和62年(1987年)2月、政府はエイズについての正しい知識の普及啓発、検査・診療体制の充実等を盛り込んだ「エイズ問題総合対策大綱」をまとめました。その事業の一部を実施するため、民間の協力の下、同年6月に厚生省(当時)の許可を得て「財団法人エイズ予防財団」が設立されました。
当財団の活動目的は、HIV感染症・エイズに関して、正しい知識の普及啓発、予防・診断・治療等の研究の支援、情報の収集・提供、国際交流の推進等を通じてその予防とまん延の防止を図るとともに、エイズ等の流行に影響を受けている人々の人権の尊重と偏見・差別の解消に努め、もって国民の保健福祉の向上に寄与することとしています。さらに、当財団では陽性者の方々やその支援団体に対する支援も重要な課題であると考えています。
米国国立衛生研究所(NIH)で研究中だった満屋裕明博士が世界初の抗HIV薬AZTを発見された1987年以降、HIV感染症の治療は大きく進歩し、今では副作用もほとんど無く、とても効果のある1日1回1錠の配合錠で治療できるようになっています。治療開始によって多くの方は血液のHIVが機器で測定できないくらいまでに体内で増えるのを抑え続けることができ、ご本人の健康状態の回復と維持、さらには他への感染を大きく防げることもわかっています。
今では、かつて日本でもあったエイズパニックが信じられないほどHIVのイメージが大きく変わりましたが、一方、国内では性的接触での感染がほとんどですので、HIVには多くの方が感染する機会があると言えます。国も早期発見、早期治療を強く勧めているところであり、全国の保健所等では無料匿名でHIV検査を受けることができますので、機会を見つけてぜひご利用ください。
当財団では、今後とも先に述べた目的の実現に向かい、全力で努力して行く所存です。
そのためにも国民の皆さまの更なるご理解と力強いご支援を心からお願い申し上げます。