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  HIV感染症は、感染により免疫系が破壊されて、放置すると様々な感染症や悪性腫瘍を合併し、いわゆるエイズという状態になる疾患であります。
 
HIVに感染した場合、症状が現れるまでの無症候期間は6カ月〜15年以上(平均10年)に及び、その間、性行為等によって他人に感染させる可能性があります。
 
HIV感染者・エイズ患者は、1981年に報告されて以来、瞬く間に全世界に拡大し、これまでに7,000万人が罹患し、3,000万人が死亡しています。
 
現在でも、途上国を中心に拡大を続け、最近では、膨大な数の人口を擁する中国やインドでHIV感染者・エイズ患者が急増し、大きな社会問題となっています。
 
一方、欧米等先進国では、HIV感染者数の増加は必ずしも食い止められていませんが、治療薬の飛躍的な進歩により、新規にエイズを発症する患者や、エイズで死亡する患者の数は著しく減少しています。
ところが、わが国では、毎年HIV感染者・エイズ患者の報告数が増加し続け、2004年の1年間で新たに感染が確認されたHIV感染者数は780人、新規のエイズ発症者は385人と初めて年間の合計が1,000件を超えました。
 
2005年の4月には累積のHIV感染者6,734人、エイズ患者3,336人を数え、その合計累積報告数は遂に1万人を超え、その後も年間の報告数には歯止めがかからない状況が続いています。
 
さらに、わが国のHIV感染者の約30%が、エイズを発症して初めてHIVに感染していたことに気づくという事実から、HIV抗体検査を受けていないために、無症候期にある感染者の多くが、このHIV感染者数6,734人には算定されていないと考えられ、その数は、報告数の4〜5倍に達するとの推定があります。
 
新規にエイズを発症する患者数が減少しつつある先進諸国にあって、わが国では、新規エイズ発症者が持続的に増加しています。
 
わが国以外の先進諸国に、エイズを発症する患者数の減少をもたらしたものは、HIV抗体検査の普及と発症前の受療行動です。
 
HIV抗体検査の普及により、HIV感染症は早期に発見され、発見されたHIV感染者は、多剤併用療法(HAART)など、発症予防に極めて有効な治療法によって治療されます。その効果は、極めて顕著です。
 
その結果、HIV感染症は完全には治癒しないものの、エイズの発症や死亡、性的接触による感染の拡大を予防することが出来るようになりました。
 
一方、わが国では、HIV抗体検査の普及が不十分であるため、多くの感染者がエイズを発症して初めて、HAARTを受けることとなります。エイズを発症してからもHAARTはある程度奏功しますが、その効果は、発症前と比較して、明らかに劣ります。
 
エイズ発症を予防するためには、HIV感染症の早期発見が重要であり、そのためには、検査の普及が必要です。
 
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